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この時計を最初に手に取ったとき、まず最初に感じたのは「すごくキレイな時計だなー」とということだった。

安くはない価格の時計だ。そんなことは当然だろうと思われる方は多いだろうし、あえて口にするほど珍しいことではないのでは?と言う人も少なくないかもしれない。確かにそうだ。筆者はこれまでに数多くの美しい時計を見てきたが、そう感じた多くの時計は海外ブランドの、そして100万円以上するものがほとんどだった。もちろん、クレドールやグランドセイコーなど日本のブランドの時計にも美しい時計は少なくなかったが、どちらかと言えば技術的な独自性やおもしろさが際立っている場合がほとんどで、ファースト・インプレッションで感性に訴えかけてくるような魅力を感じられる時計というのは、そう多くはなかった。だが、この時計ではまず最初に美しい外装に心を引かれたのだ。

ミラーとヘアラインで磨き分けられ、面の美しさが際立ったステンレススティールケースはCal.0200を搭載するモデルすべてに共通する特徴だが、この時計ならでの見どころは、やはりダイヤルだろう。槌目(つちめ)模様を思わせる凹凸が、波打つ水面のような印象をもたらしている。光が当たる角度によって生まれる大胆な陰影には思わず見惚れてしまった。これには既存モデルと同じく電鋳の技法が用いられている。マスターモデル(母材)の表面に電気化学反応を利用して厚いメッキを施し、それを剥離。マスターモデルとは反対面の形状を作る技法だ。これはもともとマスターモデルの形状や表面の凹凸を極めて忠実に再現することができる技法だが、本当に金槌を打ちつけているようにしか見えないほどの質感を持っている。

このダイヤルの加工精度の高さが美しさの最大の理由だが、それを引き立てているのが風防に施されているシチズン独自のクラリティ・コーティング技術だ。本来は反射を抑え、光の99%を透過させることでダイヤルを見やすくするという技術だが、ダイヤルを美しく見せるということにもひと役買っている。

また、ヘアライン仕上げが施されたジルコニアセラミックベゼルも素材の持つ硬さを特徴としながら、金属のような重厚感も備えており、とても印象的だった。ちなみにシチズンの時計でジルコニアセラミックベゼルが採用されたのはエコ・ドライブ ワンのAR5074-53Eが最初だが、ザ・シチズンのメカニカル Cal.0200搭載モデルにおいては本機が初となる。

そして最後に見どころをもうひとつ。姫路黒桟革(ひめじくろざんがわ)を使用したストラップだ。姫路黒桟革はカーフ素材になめし技術と漆塗り技術を融合させたもの。革の下地作りに3ヵ月、漆塗り作業に1ヵ月も費やす高級皮革で、小さな粒を無数に散りばめたような美しい外観から“革の黒ダイヤ”とも呼ばれる素材だ。手作業でシボに漆を施し、乾燥と塗りを繰り返すことで生まれる量感と深みのある艶が、この時計に高級感を与えている。これはこれで魅力的だったが、個人的にはブレスレット仕様も見てみたかった。例えば、ジルコニアセラミックベゼルのブラックカラーに合わせて、デュラテクトDLC加工を施したブレスレットを採用するというのはどうだろう。カラーバランスとしても悪くはないし、よりダイヤルの存在感が際立つのではないだろうか? ザ・シチズンはブレスレットのクオリティが高いだけに、シチズンならではのデュラテクト技術を生かしたバリエーションモデルが今後登場することを筆者は期待している。


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