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Land Traveler - 第1章 - 9話

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 食堂から部屋に上がった二人はその夜のうちに契約の儀式を行った。数あるケミル族の契約の中でも「血の約」と「紋の約」を必要とする複雑なものであったが、滞りなく契約を終え、二人が持つ剣には今、己の紋章の上に薄く相手の紋章が描かれていた。
 その翌日である今、二人は街中を何処かへ向かって歩いていた。大きな街なのかにぎわっており、道のあちこちで露店の掛け声や出し物の歓声などが聞こえた。その間を縫うようにファルトは道を進んでいく。エリスはそれについて行くので精一杯で、どこをどう歩いているのか確認する暇もない。
「あ、あのっファルト様!!」
 先を行くファルトを見失わぬように駆け足になりながら、エリスがファルトに声をかける。その声音にファルトは歩く速度を緩め、エリスのほうを振り返った。
「まだ何か、必要なものでもあるのですか?」
 既に二人は食料など、旅に必要なものを買っていた。エリスに至ってはほぼ身一つの状態でケミルコレクターの元にいたため、衣服の類もファルトによって揃えさえられていた。
 エリスにしてみればこれ以上必要なものなどないように感じる。しかしファルトにとっては違うようで、ちらり、と今まで向かっていた先を見ると「すぐそこだ」と言って再び歩き始めた。
 エリスもそれについて行くと、ファルトはすぐに細い路地へ入っていった。そこは道こそ表通りよりも狭いものの、すれ違う人が殆どいないほど人通りがないため、先程までと比べて随分と歩きやすかった。ただし、物陰や周りの家の中から不躾な視線が二人を囲んでいた。
 その道を進んで暫くするとファルトが足を止める。目の前にはこの通りにあってもわかるほど寂れた様子の店。扉の右側のディスプレイ用の窓からは積み重なった書物が覗き、反対の窓からは短剣や杖、はたまた薬瓶まで置かれていた。しかしその上にはクモの巣が張っている。置かれている物の上にも随分と埃が被っていた。とても物を売っているようには見えないし、何を主に扱っているのかも到底判断つかない。
「ここ…ですか……?」
 目の前の店の様相に思わず呆然と立ち尽くす。見慣れた光景なのか、驚いた様子もなくチラリ、とエリスの様子を見ながらも「ああ」とこともなげに答える。

「ところで、アクエリア」
 エリスが呆然としたまま立ちすくんでいるのを無視してそう声をかける。その言葉に反応してエリスの瞳がゆっくりと閉じられ、ぼんやりと開いていた口もしっかりと結ばれる。それだけで今までよりも大人びた印象を受けた。
「何でしょうか、ファルト様」
 更に言葉尻までが今までよりも丁寧なそれへと変わった。ファルトのほうへしっかりと顔を向け、「初めまして、でしょうか、一応」と口許に苦笑の色を乗せる。

 エリスと同じ顔、同じ声のその女性は、その身体にもう一つの魂、アクエリアだった



「夜+契約」ってなると若干アダルティな匂いがしてくる気がするのは私の脳内がおかしいのか…。。 変だな、もっと幻想的なものの筈なのに。 契約のシーンとかがっさり削除しちゃいました いえい☆ ちなみに契約の種類としては後は「文の約」と「宣の約」 「文の約」は契約書にサインに近い感じで最も簡単で能力の低い者の方法、って言っても実際これだけの人はほぼいない。 「宣の約」は口約束みたいなもの、と言うよりは呪文(スペル)の唱和があったりするので文よりは上。ただこれは呪文の長さによるので人のよってはすごく能力が高かったりする。 ほんとは後一つ契約方法あるけど忘れた← アクエリア登場!
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