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Land Traveler - 第2章 - 6話

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 あまりに突然変わった話の内容にエリスは呆気に取られた様子で首を横に振った。古くからいる種族はその種族ごとにフォリアトゥーレを持つ。それはエリスの種族であるケミル族でも同じであり、エリスも己の種族の話は知っている。しかし、他の種族の事となると話は変わってくる。種族によっては積極的に文章として残し、文献として他の種族にも知れるようにしている種族もあるがそれは極稀であり、殆どの場合種族内で口頭で伝えられ、他種族に知られることはない。そしてそれはケミル族にもルノア族にも当てはまることだった。そういった種族の話を知るには本人たちから直接聞くしかないが、あいにくエリスはファルトとレオしかルノア族の知り合いはいなかった。
「まぁ、普通は知らないか…」
 そんなエリスの反応は予測していただろうレオは、さして気に留めた様子もなく続けて口を開いた。
「フォリアトゥーレの中にはこの真紅の瞳について触れているものがあってね…――」

 話は神がまだ地上にいた時代まで遡る。その時のルノア族の祖先に当たる者達はまだ今ほど能力はなく、魔法も良くて並程度、武術や知識もたいした物は持っておらず、平々凡々とした種族だった。それを良しとしないルノア族は、他の種族より秀でた力を得ようと躍起になった。その結果取った方法が多種族の血を体内に取り入れることだった。ルノア族の者達は、他の種族を襲い、その血を飲み、あるいは浴びることで彼らの力を手に入れようとした。
「俺としてはそんなことしたって何が変わるとは思えないんだけどね。なんにせよその後それぞれの種族に引けを取らないほどの力を手に入れたらしい」
 しかし、手にしたのは良いものばかりではなかった。怒った神によるものか、血を得る為に殺された者達かはたまたその同族のものか、とにかくルノア族の行動を良しとしない者達からの呪いを受けることになった。それの証が真紅の瞳である。

「ルノア族の特長であるこの深紅の瞳を呪いだと言うのならば、ルノア族が受けた呪いはそれだけじゃなかったんだ。」
 それまで淡々と話していたレオの表情が真剣な色を帯びる。常には明るい表情を絶やさない彼のその顔は、どこか凄みを帯びているようにも見えた。そんなレオの様子にエリスも姿勢を正す。
「ここからの話は当然ルノア族以外の人間は知らないことだし、本当は教えてはいけないことなんだ。でも、ファルトと旅をするには知っておかなきゃならないと判断して話そうと思う。…決して口外しないと誓ってくれるかい?」
「守護精霊に誓って」
 レオの言葉に少し重なるようにして最上級の誓いを述べたエリスに「ありがとう」とにっこりと微笑む。そして再び口を開く。

「ルノア族の本当の意味での受けた呪い。それは『異端児』と呼ばれる者達が生まれることなんだ」



フォリアトゥーレ、まだちょっとお付き合い下さい。 この内容、実は結構きちんと決まってたりします。 童話形式っぽくペロッと書けそうなくらい。 機会があったら書こうかなぁ。。。 「守護精霊に誓う」はケミル族の中での最上級の宣誓です。 これで誓うと誓いを破ると下手すると自分の守護精霊に殺されます。 あ、守護精霊って守護霊みたいなもんね。 彼らは試合とかで普通なら勝てる相手に負けた時やできて当然のことができなかった場合、「守護精霊に愛想つかされた」などと言います。 勝負事とか結構口を出す守護精霊。
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