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Land Traveler - 第5章 - 3話

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 エリスを下に残して進んだ三人だったが、こちらにも敵の攻撃が襲いかかっていた。四方八方からくるそれを、様々な魔法や剣術を用いて倒していく。その数も、上に進むにつれて段々と数が減ってゆく。敵の頭数が減ってきたのか、単純にそう考えるには少々不自然だった。まるで三人をヴォルドヴェラのいる所まで誘っているようだった。




 あとニ、三階ほど上に行けばヴォルドヴェラがいるだろうか、たまたま見つけた窓から下を見下ろせば、もう随分と地上から離れていた。ファルトにつられて下を見たレオマイルがげ、と顔を歪める。

 その時、ファルトが襲いくる魔法の気配に気付き、咄嗟に魔法で光の球を創りだし、気配のする方へ放つ。激しい爆破音と光がして、敵の魔法を相殺した。煙が消えないまま目を凝らすとその先にうっすらと映る二つの影。新たに魔法を創りだす様子もなく、落ち着いた足取りで近付いてくる。
「ファルト、レイラ。先に行きな」
 段々と輪郭がはっきりしてくる敵を見据えたままレオマイルが剣を抜く。エリスと同じ展開にファルトが驚いてレオマイルに視線を移した。
「こんなとこで無駄に時間を使う必要なんざねぇだろ?まぁそれに、俺としてもこんなとこさっさとおさらばしてぇわけよ。素敵なレディもいねぇし?」
 顔だけを向けて片目を瞑ってみせる。いつものようにふざけて見せる彼の心の内に、強い意思を悟り、ファルトは無言で頷いて上への道に足を向けた。






 その階に上がると、モンスターの姿も、側近の気配も感じられなかった。最後の段差を上がりきったファルトは足を止め緩める。今まで以上に周りの気配を探りながら進んでいく。薄暗く、ただただ真っ直ぐに続く廊下を細かな細工を施した柱たちが支える。その壁に扉はなく行き着く先にたった一つ部屋があるだけだった。その床を足音を響かせ、レイラを従えて進む。

 突き当たりまで辿り着いた。目の前には一回りや二回りでは済まないほどの巨大な扉。無言の圧力で二人を見下ろすそれに、一度目線だけを交わして手を伸ばす。ファルトの手が触れる寸前、 急にゴウン、と鈍い音を伴って扉が開いた。慌てて後ろに退き、開かれる扉の先に目を向ける。中は広そうだが決して明るくはない。ゆらゆらと揺れる蝋燭の炎が中にあるものの輪郭をぼんやりと写していた。
 扉が開ききったそこに一歩、ファルトが足を踏み入れる。ガランとした広い部屋だった。おそらくファルトの国の大広間よりも広い。暗い色の絨毯が伸びた先に椅子と少しの調度品、それと明かり取りがあるだけの随分と簡素な部屋だ。とても世界を滅ぼすとされている国の皇帝の玉座とは思えない。
 椅子より向こうに一人の影が見えた。背を向けたまま、ガラス張りのそこから外の様子を眺めている。攻撃を仕掛けるかと構える前にその人物がゆっくりと振り返る。ファルトとその人物の視線が交差する。気付かれぬようにレイラが後退った。同時にファルトが剣を召喚する。
「よく来たな、とでも言うべきか?ファルト…」
 椅子に手をかけて不敵に笑う。揶揄するようなその響きに知らず顔がゆがむ。
「ヴォルドヴェラ……」
 奥歯を噛みしめる音が側にいたレイラにも聞こえた



ようやっと敵の大将さんのお出ましです。 と言ってもこれからまた場面が変わるので戦闘は暫くお預け。
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