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Land Traveler - 第5章 - 2話

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 大量のモンスターの急襲に遭ってから更に二、三階上がっただろうか。あれからも様々な敵が現れ、四人を襲った。回を重ねる毎に手強くなっている感覚はあったが、今相手をしている集団はそれだけでなく、統率が取れているように感じた。まるで別の場所で指示を出している者がいるようなそれにエリスは不信を抱く。軽く見渡す限り、頭上にもこれまでと比べて異質な者がいる気配はない。暫く悩みながら足を進めていたが、意を決すると、エリスは足を止めて顔を上げた。
「ファルト様」
 少し硬質なその声音に、ファルトたちは足を止め振り返る。視線の先のエリスの表情は声と同様、固い。どうした、と問う前に背後から近付く気配に表情を引き締める。武器を構えようとする三人に、エリスが手を伸ばして遮った。
「ファルト様たちは、どうぞお先に」
 そう言って迫り来る気配に立ちはだかるように背中を向けるエリスに目を剥く。確かに見える数は先ほどより多くなく、エリスだけで処理できなくもない。でも何故と問うファルトにエリスは振り返って微笑んで見せる。
「こんな所で留まってはいけません。ここは私が請け負いますので、どうか先に進んでください」
 片付き次第私も向かいますので、と思いの外強い視線を向ける彼女の顔を押し黙ってじっと見つめる。その間にもモンスターが近づいてきているのがエリスの背中越しに見える。
 暫くエリスと視線を交わしていたファルトがグッとその目に力を込めて頷いた。
「任せる」
 静かに告げられたその言葉にエリスの表情がフッと緩んだ。
「これが、終わったら」
 哀愁の漂う酷く美しい笑みを浮かべながら唐突に声をかけられる。なんだ、と無言で次を促すとエリスは続けた。
「また、旅にご一緒させてください」
「…ああ。だから、必ず上がって来い」
 お互いの視線をしっかりと絡み合わせた直後、ファルトはバっと音のしそうなほどの勢いで踵を返して駆け出した。向かう先には上へと続く階段が見えている。二人を見守っていたレオマイルとレイラもエリスを心配そうに視線を向ける。それにニッコリと微笑んだ彼女に、不安な表情は拭えないものの、彼らもファルトの後に続いた。





 三人の姿が見えなくなるまで見送ると、キッと視線を強めて後ろに迫るモンスターに対峙した。既に十mほど先に迫った敵に視点を定めると、抜いていた剣を鞘に収め瞳を閉じる。これだけの敵に剣一つで太刀打ちできると考えるほどエリスは浅はかではなかった。そのままの体勢で額の辺りで手首を交差させる。その口から静かに呪文が紡ぎ出され始めた。

「…今、その力を解き放ち、この者たちを闇に帰せよ!!」
 その言葉を最後に両手を目の前に突き出した。彼女の手に生まれた白い光が、突き出されるままに敵に向かって放たれる。目の前に見える敵がほぼ全てその光に包まれるのを確認すると、突き出したままであった両手の掌をゆっくりと握り締めながら顔の目の前まで引き寄せる。その動作に従うように敵を包み込んだ光が小さくなっていく。
 両手を眼前まで引き寄せると、ギュッと一際強く掌を握り締め、開くと同時に何かを投げ捨てるように勢いよく斜め下に手を引き落とした。小さくなった光が弾け飛び、包まれたはずの敵が跡形もなく消えていた。しかし、光に漏れた敵が遠くから迫っている。アクエリアはそれらにしっかりと顔を向けると、更に呪文を紡ぎながら走り出した。



iPad(と言う名の外出用編集機器)からデータを取り出して、今回の編集分を貼り付けてから取り出しに失敗してるのに気付いて泣く泣く同じ作業を繰り返しました。 しかも取り出す作業は実は随分前に終わってたと言う。。。 更新前に確認しようと思ってほんとによかった。。。 そろそろガチの戦闘シーンに突入です。 話そのものも大詰めなのでもうしばしお付き合い下さい
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