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Land Traveler - 第1章 - 20話

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 下から掬うように襲い掛かってくる剣を右側から叩き落した。そのまま剣を右に戻す際にがら空きになった男の上半身から首を狙うが、上体を反らされ、僅かに届かない。ファルトが忌々しげに舌打ちをすると、男が反らした上体を戻しながら得意げに口を歪めた。と同時に左下から握り直した剣がわき腹を狙って襲ってくる。咄嗟に剣を返し左肩の上から垂直に相手の剣を受け止めた。そのまま剣が重くなる。男がファルトの剣ごとわき腹を襲ってしまおうと力を篭めていた。キキッと甲高い金属音が鳴る。体を捻って剣を受けてる分、ファルトのほうが不利だ、手の甲側に捻った左手に力が入らない。剣を支えている左肩でも男の力の強さがありありと感じ取れる。勿論、そのまま圧される気など更々ないファルトは剣を受けた状態で捻った手首と体を戻し、正面で対峙する。急に男が剣を引き後ろに跳び退った。そのすぐ後にファルトの右足が先ほどまで男がいた場所を通り過ぎる。
「っ痛っっ」
「チッ」
 僅かに動きが遅かったのか、少し鈍い音がし、男が脇を抑える。ファルトは左足を軸に蹴り上げた右足をゆっくりと下ろしつつ盛大に舌打ちをした。
「何でもありだねぇ…」
 ファルトを見上げた男は未だわき腹の痛みに顔を歪めながらもその口端をニ、と吊り上げた。




「あんたの連れの人、中々やるじゃない」
 旦那かい?と急に隣から声を掛けられ、二人の動きに集中していたエリスは慌てて顔を声がしたほうに向けた。すぐ隣にいた恰幅のいい40代ほどの女性がからかうように小突いてくる。慌てたエリスが口を開くよりも先に女性が再び話し出した。
「なんたって、あのお方を相手にここまでできるんだもんねぇ」
 話を振った割にエリスのことなどお構いなしに「すごいもんだよ」と何故か満足げに頷いている。その口調から彼女が男のことをそれなりに知っているとわかる。
「あのっ…、あの方は一体……」
 話しかけられたこのチャンスを逃すまいと女性の肩を掴んで注意を引く。何を言っているんだと言いたげな表情だったが、すぐに湧き上がったどよめきと悲鳴に、エリスの手を振り払うと、再び輪に混じってしまった。

 人の輪の中心を覗き込むと、ファルトに対峙した男が左腕を押さえ、苦々しげな表情をファルトに向けている。抑えたところの服が破れ、僅かに血が滲んでいた。動揺した観衆がざわつき始める。そんな周りの様子などお構いなしに再び男が剣を構えてファルトに向かう。それをファルトが振り払う。すると、それを予測していたようにすぐに手首を返し、ファルトの顔の高さで剣を振るった。咄嗟にファルトは上体を引く。布の破れる音と金属の壊れる音がした。
 ファルトに怪我はない。しかし、その口許を覆っていたケルの片方の留め金が外れ、ハラリ、と落ちた。
 男は動かない。観衆たちも突如明らかになった正体不明の男の顔に、シンと静まり返る。

 突如ザクッと地面を穿つ音が響く。音の元を辿ると、ファルトと対峙していた男が己の剣を地面に突き刺していた。片手は腰に当てられ、その姿勢にもう戦意は見られない。

「やっぱりな…久しぶりだな、ファルト」
 男の言葉にファルトも体勢を緩める。手から離れた剣が元の光の塊となり、やがて消えていった。ハァ、周りにもはっきり聞こえるほどの溜め息を吐き、何かに耐えるように目を伏せ、額に手を当てる。

「相変わらずだな…レオ」



バトルシーンは以前の奴をまるっとコピペすればいいと思ってたのに、出だしから随分と変わってて結局書き直しだよ!! 戦闘シーンは立ち回りを目も前でやってくれる人がどうしても欲しくなります。動きわからん。 そう言えばすっかり書くの忘れてましたが、ファルトとエリスはフード+口許に覆い布(ケル)を付けてます。風とか砂とかゴミとかの防御用。主に飛竜での旅装束です。 覆い布はフードの端に引っ掛けているだけのようなものなので食事の時などは簡単に取り外し可能。 これさえあれば口に何か入ることもないしフードも風で飛ばされないし、一石二鳥!! どうでも良いがいい加減私のぱそ子は「けん」を一発で「剣」と出して欲しい。 なんだ県とか件って。
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