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Land Traveler - 第3章 - 2話

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「本当にありがとうございました!!」
 結局ファルトは不本意ながら街を救うことになった。と言うのも、あの場にいた敵のほぼ全てが自分達に向かってきた為、それに応戦して結果的に全滅させてしまったのである。そして今、ファルトの目の前では領主であろう人物が、深々と頭を下げている。その横を、街の大人の中でも比較的傷の浅い男達が、悪臭を放つ塊を鼻を摘みながら片付けていた。また、傷の深い者達は、ファルトに言われアクエリアが魔法で治療をしている。子供達は危険から回避し遊び始め、女達は食事の準備や壊れてあちこちに散らばった家のものを片付けるために動き出していた。
「つきましては、盛大にお礼をさせていただきますので、こちらに…」
 そんな街の人達の様子をぼんやりと眺めていると、領主が揉み手をしながら三人を家へ案内しようとする。
「いや、必要な……」
「マジ!? いやぁ、ちょうど良かった。腹減ったんだ、俺」
 断ろうとするファルトを遮り、レオマイルがファルトの肩口から顔を覗かせた。ファルトが責めるように睨む。するとニ、と片方の口端を上げ、レオマイルが耳打ちするような小さな声でファルトに言う。
「こういうモンは、素直に貰った方が得だぜ」
 目配せをするレオマイルに、呆れ返ったように額を押さえると、ファルトは「勝手にしろ」とだけ言い溜息を付いた。二人のやりとりを黙って見ていた領主は二人が話し終えるのを見計らって口を開く。
「では、こちらに」
 歩き出した領主に連れられてレオマイルが動き出す。一呼吸遅れて、そしてレオマイルに促されてファルトが動く。目の端で未だ街の人たちに囲まれて治療を施しているアクエリアを捉えた。声をかけ付いてくるように告げると、未だに治療していない人達に侘びをした後、自分のほうを向き、足を止めているファルトのほうに向かって、走ってくる。それを見届けてファルトは先に行った領主たちのほうへ足を進めた。





 卓上にこれでもかというほど並べられていた食事もようやく減り、忙しなく立ち回っていた給仕も落ち着きを取り戻していた。それでも領主の口からはひっきりなしに三人への感謝の言葉が並べられる。それに対しファルトはうんざりとした顔をしながら適当に相槌をうち、その横でファルトの機嫌の悪さにはらはらしながらアクエリアが見ている。レオマイルはすでに席から離れ、部屋の隅で女性に声を掛けていた。相手も満更ではなさそうに頬を僅かに染めている。

(見つけた・・・・)
 ゾワリ、と肌を逆撫でされたような声だった。反射的に辺りを見渡すが、敵意を感じるような視線を向けられている様子はない。にもかかわらず不快感が耳どころか全身に付いたまま離れない。この場にはいない『誰か』がファルトのことをじっと睨み付けている気配。その鋭さに、首筋に冷や汗が伝うのを感じだ。
「如何なされました?」
 突然顔を動かしたファルトに領主が不思議そうに訊ねる。ファルトを見上げるアクエリアの表情にも疑問が浮かんでいる。彼女さえ気付かない敵意。むしろ、ファルトだけに強烈に向けられたと考えてもいい。
「世話になった。…行くぞ」
 そう言うと同時に立ち上がり、領主が止めるのも無視してつかつかと出口へ向かっていった。アクエリアがそれに慌てて付いていき、レオマイルは少々ファルトと言い争った後、仕方なさそうに女性に誤った後、二人の後にその場から去っていった。
残された街の人々はただ呆然と3人が消えた先を見つめるより他なかった。





「ったく何だってんだよ。せっかくいいとこだったのに‥‥」
 そう言ってレオマイルは、先程までいた街を見下ろした。女性との逢瀬を強制的に終わらせることになった彼は未練も不満も有り余るほどだが、当のファルトは一向に気に留めた様子もない。
「ならば残ればよかっただろう。無理について来いと言った覚えはない」
 あまつさえそう言ってレオマイルを街に戻そうとまでする。どこまでも横柄なその態度にレオマイルがあからさまに大きな溜め息を吐いた。
「へーへー。俺が悪ぅございましたー」
「‥‥ファルト様、本当にいかがなされたのですか」
 二人の遣り取りにクスリと笑みを零したアクエリアが表情を戻しファルトに問いかけた。何もない、と言うにはあまりにも唐突過ぎるファルトの行動に疑問を禁じえない。しかしファルトはその問いに答えず、ただ煮え切らない表情で遠くを見つめるだけだった。



正直、今回はフォント変えれたらなって思った。 ものすごくおどろおどろしいヤツに。 その辺とか漫画とかイラスト描ける人いいなーって思います。 あとギャグとか4コマ的なネタ浮かんだときも。
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